思春期に読みたい! 淡くも切ない 残酷な「死」をテーマにしたおすすめ絵本
ここ最近になって長男(10)も次男(6)も「死」という言葉を彼らなりに意識するようになったようだ。
早いのか?遅いのか?
大人でさえわからない「死」という言葉の意味を、彼らがどんな風に受け止めているのかわからないが、せっかく気に止まったのなら何かを考える良い機会だと思い絵本をプレゼントした。
なぜ「かないくん」なのか?
僕は糸井重里氏のファンである。
何気によく見る「ほぼ日」で「かないくん」が紹介されていたのを思い出したのでAmazonで購入。まあ、ただの気まぐれである。
他にも「死」をテーマにした児童書はたくさんある。だけど「かないくん」を選んだ。
僕自身、子どもたちの絵本で谷川俊太郎氏の作品には触れることが多かったが、松本大洋氏はテレビで映画「ピンポン」をみたぐらい。「鉄コン筋クリート」も友達の家でパラパラめくる程度で、特に好きな作家でもなかった。
発売当時から「谷川俊太郎・作 松本大洋・絵」ということで巷で話題にもなっていたのと、以下のリンク「かないくんができるまで」を見て読んでみたくなった。
詩人と漫画家が絵本「かないくん」へのそれぞれの想いを語る対談も奥が深い。
さいごに
ネタばれのないよう簡潔にいうと、大人目線で谷川氏の抽象的な表現に、少し物足りなさを感じる。
もっと「死」というものを突っ込んで欲しかった、、、
しかし、小学生の長男には何か響くモノがあったようだ。
長男にとっては、難しい言葉や長い文章より、シンプルでストレートな表現の方が、はっきりとはわからない「死」の寂しや冷たさを感じることができたのではないだろうか。
絵が最高!
冒頭でも触れたが、僕は松本大洋は完全にノーマークだった。
この絵本は言葉が先にできた。その言葉に松本氏が絵をのせる作業。
「かないくんができるまで」にも書いてあるが、相当大変な作業だと思う。
「鉄コン筋クリート」のコミカルな画風と違い、淡く繊細な「日本画」のような絵が淡々とした話にリズムを生み出している。
表紙の赤いマフラーなど所々登場する、どこか懐かしい昭和の朱色がアクセントになっていて、本というより「一枚の絵」として家のどこかへ飾りたいくらいだ。
個人的にはアッサリとした内容で「死」とは何かを考える本ではなかった。
シンプルで淡い、温度の低い寂しい内容だが、思春期の中・高校生なんかには、「死」を当たり障りのない言葉で伝えようとする本よりは必ず響く。
これから寒くなる冬に向け、あえてディープなところへ潜りたい方にはおすすめの一冊。
読んでいただいた方へ
ありがとうございました。
Kai Hajime
かないくん (ほぼにちの絵本) | ||||
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